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女性ホルモンと痛み
女性ホルモンの変化と痛みの関係
女性ホルモンであるエストロゲンは、骨や関節、腱(筋肉と骨をつなぐ組織)の健康を維持するために重要な働きをしています。エストロゲンには以下の役割があります。
- 炎症を抑える作用(抗炎症作用)
- コラーゲン生成を促し、関節や靭帯の弾力性を保つ
- 傷んだ組織の修復を助ける
しかし、女性ホルモンが急激に減少すると、これらの機能が低下し、痛みや炎症が起こりやすくなります。以下で、その代表的な状況を説明します。
1.女性ホルモン抑制剤による痛み
乳がん、月経困難症、子宮内膜症の治療で使われる女性ホルモン抑制剤(例:アロマターゼ阻害剤、GnRHアゴニストなど)は、エストロゲンの分泌を抑えることで治療効果を得ます。その結果、約30~50%の方が関節痛や腱鞘炎、手根管症候群などの痛みを経験します。
【対処法】
- 痛み止めや抗炎症薬(NSAIDs)を服用する
- 軽い運動やストレッチを行う
- 栄養バランスや適切な体重管理を心掛ける
2.出産後のホルモン変動と痛み
妊娠中にはエストロゲンやリラキシンというホルモンが増え、関節や靭帯が緩みます。出産後にはこれらのホルモンが急激に減少しますが、リラキシンの影響はしばらく残ります。そのため、手首や親指に負担がかかりやすく、腱鞘炎(ドケルバン病)や関節炎が起こりやすくなります。
また、授乳中はプロラクチンが増えるため、エストロゲンの回復が遅れて症状が続くことがありますが、月経再開後にエストロゲンが再び上昇すると、多くの場合、痛みが改善します。
【対処法】
- 手首を反らさないよう抱っこの仕方を工夫する
- 授乳クッションなどで負担を軽減する
- ストレッチや軽い運動を行う
- 痛みが強い場合は早めに整形外科を受診
3.更年期障害による痛み
更年期(45~55歳頃)には卵巣機能が低下し、エストロゲンが急激に減少します。これにより、関節痛や筋肉痛、腱鞘炎などの症状が出やすくなります。特に肩、手指、膝などに痛みやこわばりが現れやすく、朝起きたときに動きにくいと感じる方もいます。
更年期障害による痛みの特徴:
- 関節や筋肉のこわばり
- 手や膝などの関節の痛み
- 疲労感を伴うことが多い
【対処法】
- 痛み止めや抗炎症薬(NSAIDs)の使用
- ホルモン補充療法(HRT)を検討する
- ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を習慣化する
- 骨粗しょう症予防も兼ねてカルシウム・ビタミンDを摂取する
まとめ
女性ホルモンのエストロゲンは、関節や腱を守る大切な役割を果たしますが、その急激な減少が痛みの原因になることがあります。ホルモンの変動による痛みは、お薬の調整や生活習慣、運動療法などを通じて改善できる場合が多いため、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
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